拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
須藤さんは私より4年次先輩なので、5年目になる26歳だ。5年目の社会人がどの程度なのか、私からしたらまだ未知の世界だが須藤さんは物凄い存在感だ。
何度か一緒のレビューに参加させてもらったが、全体の進め方の無駄のなさや、疑問点の解決の仕方、今後課題になりそうなところの想定等の的確さがずば抜けていると感じた。最初は5年目ともなるとこのレベルになるのか、と思ったのだが、他のレビューにでていても須藤さんの優秀さは際立っている。憧れを通り越して神みたいな存在だ。

それぞれ社食で選んだ食事をトレーに持ち、向かい合わせで席につくと、当たり前だが須藤さんの顔がよく見える。
本配属されてから3か月の間に懇親会は何度かあったものの、じっくり話をする機会は殆どなかった。しかし、たまに吉田さんと3人でお昼に行くことは何度かあったが、もっぱら話をするのは吉田さんとばかりで私は相槌を打つ程度だった。
二人で顔を突き合わせてお昼を食べるのは初めてだ。

「吉田どう?」

「ただでさえお忙しいのに、頼ってばかりで申し訳ないです」

もう3か月たつというのに、自分の考え方が正しいのか全く自信がなく、どしても吉田さんに確認しないと前に進めない。自分でもこのままではいけないとわかっているのだが、委託先に迷惑をかけるかもしれないと思うと、どうも萎縮してしまう。

ふと前に目を向けると、須藤さんと目が合い、ニヤニヤというか、苦笑いというか、なんとも言えない顔をしながら言った。

「申し訳なくなんてないよ。吉田の役目なんだから」

「さっき、これくらいの事前確認はいらない、て言われました」

「そっか。」

「でも、私には『これくらい』の判断すらつかないんです」

「うん」

「だから何でもかんでも確認してしまって、迷惑ばかりかけてます」

すると、須藤さんが、ははっと声を出して笑い、私の頭をポンポン、と撫でた。
笑われるような、何かおかしいこと言ったかな、と考えていると、ごめんね、と言いながらさらに笑った。

「吉田もこんなんだったのかな、と思ってさ」

「吉田さんですか?」

「俺は教育係って吉田しかしたことなくてさ。他の同期なんかは何年か続けてやってるヤツもいるんだけどね。
だから比べる相手は吉田しかいないんだけど。吉田もそうやって悩んでたのかな、って思ってさ。
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