拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
社会人になるってこういうことなのかな・・・と嬉しいような少し寂しいような感じがした。私一人が何の成長もせずいつまでの新入社員のままのような気になってしまう。
この前和美と一緒にお昼を食べた時も、同じように感じたばかりだっだ。自分なりに一つずつ丁寧に仕事を覚えようとしているのだが、周りが気になり焦る気持ちが抑えられず、中々上手くいかない。

「忙しい?」

「ん~、日々仕事をこなすのに精いっぱいで、時間がたつのがあっという間。浦野くんこそ忙しそうだよね。お昼もいつも今日みたいに遅くなっちゃうの?」

「今日くらいの時間が多いけど、忙しいっていうより何となくタイミングを逃しちゃってる感じかな。」

それぞれの仕事のことや、他の同期の話などつもる話に盛り上がり、あっという間に時間が過ぎた。
浦橋くんはあまり自分の業務のことを詳しく話はしないが、何となくの口ぶりで、私ほど教育係にべったりという感じではないらしい。ある程度一人称で進めている感じを受けた。
他部門の話を聞くだけでも楽しいし、浦橋くんの仕事ぶりを聞くのも良い刺激になる。

「今日一緒にお昼食べた人が教育係の人?」

「違うよ。あの人は4年次上の先輩で隣の部門なの。今私の教育係してくれてる人の教育係だった人」

「へえ。えらいカッコいい人だな」

「うん。仕事もできるし、オーラ半端ないよ。噂によると同棲してる彼女がいるんだって。」

そうなんだ、できる男はさすがにプライベートも充実してるんだな・・と呟くように言っているが・・、そういえば浦橋くんは遠距離の彼女とは続いているのだろうか・・・。何となくタイミングがつかめなくて聞けないままでいた。

後半ウトウトと寝てしまった真田君を起こし、タクシーに押し込んだあと、浦橋くんと並んで歩きながら今日のお礼を言う。

「今日は誘ってくれてありがとう。また来週か再来週、ご飯行こうよ。」

そういうと、浦橋くんは驚いたように目を見開き、少しの間黙ってから私を見つめて言った。

「・・・満里子から誘ってくれたの、初めてだな」

「・・・そうだった?」

「うん。いつも俺からだったよ。しかも若干避けられてた」

確かに・・・変にちょっかい出してくるから距離を置いていたことがあったな。牧野くんに誤解されたくなったというのもあるし・・・。

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