拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
話声が聞こえたらしく、須藤さんがチラリと振り向いた。浦橋くんが会釈すると、先行くな、と言って足早に行ってしまった。

「職場の先輩だよね?」

「うん、さっきコーヒーショップで会ったの」

手元のコーヒーを見せながら言うと、納得したようにうなずいた。

「昨日はありがとね。遅くなっちゃったんじゃない?」

昨日は私と偶然会ったために、残業で疲れているはずなのに、お酒を飲んでいい気分の私を心配して送ってくれたのだった。

「大丈夫。満里子こそ、大丈夫なん?」

「全然大丈夫だよ、たくさん飲んだわけじゃないし」

「最近昼の休憩が時間通りとれないことが多くてさ。来週夜メシいかない?」

「そうだね、夜のほうがゆっくりできるね。」

「さっきの先輩、やっぱかっこいいね。ずっと開発にいるの?」

「そうみたい。だけど今年あたり経企に行くんじゃないかって噂されてる」

「なるほどね。エリートか。見た目もよくて仕事もできて無敵だな」

「そうだね」

私も何度か関わってはいるものの、じっくりとしゃべったことないので実際どんな性格なのかわからない。プライベートな話も全くと言っていいほどしない。だから浦野君のことを彼氏か?とかデートか?とか聞かれたことがとても意外だった。

一緒にエレベータにのり17回についくと、またね、と浦野君が降りていき、23階で自分も降りて席につくと、先ほどのお店の新しいコーヒーが置かれていた。

須藤さんの席まで行き、声をかける。

「コーヒー、置いてくださいましたか?」

「さっきはドリップコーヒーだったみただから、カフェラテにしたんだけど、苦手?」

「いえ、大好きです。ありがとうございます」

「どういたしまして。・・・彼、やっぱりカッコいいね」

「ふふ。須藤さんといると浦橋くんとの遭遇率が高いですね。彼もいつも須藤さんのことかっこいいって言ってます」

「はは。それは光栄です」

クールに笑って話す須藤さんは仕事をしているときのちょっと怖い感じは薄れるが、、私としては吉田さんが須藤さんに接してている姿はいつみても恐る恐るだし、緊張しているように見える。それを見慣れてしまっている私は恐れ多くて話すだけでも緊張してしまう。

「おはようございます」

おはようございます、と言いながら振り向くと吉田さんが横に立っていた。

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