拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
またゆっくりご飯行こうね、と約束をして和美と別れ、浦橋くんとの待ち合わせ場所に向かうと既に浦橋くんが来ていた。

予約してくれていたお店に到着すると、静かで大人っぽい雰囲気のお店だった。いつもはもっとカジュアルなお店が多いので、一瞬尻込みするが、店員さんが笑顔で席まで案内してくれた。

「素敵なお店だね。静かだし、お料理も美味しそう」

「うん。先輩がめっちゃ勧めてくるだけあるな」

天井が高くて広々としているが、お店自体はそれほど広くなく、20席あるかないかだ。音楽も低音で流れているだけで客層も2人が多い。カウンターには一人で飲んでいる人もいる。

「一人でも来れそうなお店だね。今度一人でこよっかな」

カウンターで一人でワインを飲むなんて大人になった気分だ。一度やってみたい。

「何でだよ。また一緒に来ようよ」

笑いながら浦橋くんが言った。

「同期会の話聞いた?」

「連絡あったよ。浦橋くん行けるの?」

「この前みたいに少し遅くなると思うけど、行くよ。満里子は?」

「うん、行く。」

同期会は気が楽だ。皆仲が良いし、お酒を飲む時間が苦痛だった支店の飲み会とは違う。
支店の時の飲み会では長い時間先輩たちの説教や自慢話を聞いているのは少々つらかった。それでも必死に会話していたつもりだったのに、『佐多さんは協調性がない』『お守りが大変』など陰口を言われていた。

今の職場は飲みに懇親会などはたまにあるが、個別に飲みに行くことがあまりない。少し前までは設計部の同期が女子会を企画してたまに誘ってくれていたのだが、最近はそれぞれ仕事が忙しく、たまに時間を合わせてお昼に一緒に行く程度だ。
割と気が合う同期たちで、今度お休みの日に一緒に買い物に行こうね、と言っているが中々実現しない。

素敵なお店で食事も美味しく、ワインも飲みやすいのを選んでくれたのもあり、お店を出る頃にはいい気分になっていた。

「また酔ってるな」

「うん。ごめんね。飲みやすかったからつい。だけど大丈夫よ。気分悪くはないから」

この前も送ってくれたし、毎回迷惑をかけられない。
だけど、やっぱりこの前と同様、最寄りの駅まで送ってくれる。

「いつもごめん。遅くなっちゃうね」

浦橋くんにお礼を言おうとし、正面から顔を見あげると、しばらく無言で私の顔を見ていたが、ふっと笑い、私の髪の毛に手をかけた。

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