拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
スーツではなく私服姿だが、私よりは年上に見える。社会人だろうか。

「一人?」

「・・・」

「一緒に遊ぼ」

なんだ、ナンパか・・・。第一印象は知らない人、だとは思ったものの、もしかしたら知り合いかも、と思い立ち止まったが、どうやら違ったらしい。
あっちに友達がいるので、といってその人から離れ、お店を出た。

気晴らしに遊んでも良かったのだが、酔っぱらってそうだったし、人相もあまりよくなかった。
陽美ちゃんも年上の素敵な彼氏ができたというし、牧野くんだって・・・・可愛い彼女がいることだし、私だってチャンスがあれば恋をしてみたい。

今度こそ帰ろう、と駅に向かった歩き出した。


家の近くのコンビニに寄り、甘いスイーツ1つとカフェラテを買って部屋に帰る。
全く眠れる気がしなくて、お風呂に入る前にスイーツを食べて、カフェラテ飲んで・・・牧野くんがよく買ってくれたな・・・。

ボーっとテレビを見る。時計を見るともうすぐ12時だ。
そろそろお風呂に入って寝るかな、と頭では思うのだが、体が動かない。

牧野くんと一緒に過ごした時間が好きだった。ずっとずっと続けばいいな、と思っていたけど、研修が終わり、離れてからの時間のほうがはるかに長い。本配属になって8が月がたとうとしている。

新入社員は集合研修からOJTそして本配属と環境が目まぐるしく変わる。
その中でも牧野くんは一度はサッカーから離れたものの、再び選手として活躍している。会社もかわり出向扱いだ。
それこそ環境がガラリとかわり、忙しいだろう、大変な思いをしているだろう、という気遣いのつもりだったが、間違いなく、確実に距離ができてしまった。
環境が変わりながらも、ちゃんと恋をしていた牧野くんとは違い、
しつこく牧野くんを想い続けた私のほうがむしろ気持ちが悪いかもしれない。

身の程を知るにはいい機会だ。
ほとんど恋の経験もなく、地味な私がめずらしくて優しくしてくれただけなのかもしれない。

男友達もほとんどいないし、恋愛経験も乏しいかったのもあり、牧野くんは色々なことを教えてくれた。牧野くんの大学時代の友達みんなが気さくに話してくれたのもとても嬉しかったし、驚きもした。大事な友達の牧野の友達なら俺たちも仲よくしよう、ということなんだろうが、牧野くんの人柄やよくわかる出来事でもあった。

思い返せば、あの時には完全にもう好きになっていたのだろう。
最も、研修初日に声をかけてくれた時から好印象だったのも確かだ。

忘れられるだろうか・・・
少し時間がかかるかもしれないが、少しずつ前を向く努力をしていこう。
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