拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
電車を2つ乗り換え、やや空いている車内の端っこに並んで座っていると、浦橋くんが聞いてきた。

「この前の同期会のとき、何かあったの?」

そうだよね。急にいなくなってそのまま解散になってしまってから、今朝、浦橋くんが職場に来てくれたはしたが、詳しくは話しえてないし、話す気もないのだが・・・。

「特に体調が悪いってわけじゃなかったんだけど、一口飲んだら少し気分悪くなって・・。トイレ行った後、お店の前で休んでたの」

「そっか。何もないなら別にいいんだけど。誰かが何か怒らせることしたのかと思った」

逆にこっちこそ途中からいなくなって大変だっただろうと反省していたのに・・・。何だか申し訳ない。

そしてまた今日も結局自宅のある駅まで送ってもらってしまった。

「いつもごめんね」

「おう。早く寝ろよ。あんまり飲みすぎるなよ。家入ったらメールちょうだい」

「浦橋くんこそ、遅くなちゃったね」

「満里子さ、今週の土日何してる?」

「特に何も」

「出かけない?買い物付き合ってよ」

「いいけど。何買うの?」

「テレビがほしい。やっぱあったほうがいいかなと思って」

「土曜日にする?」

「おう、じゃあ、土曜日ね」

手を振りながら歩き出し、ちょうど来た電車の飛び乗ると、クルっと振り返って私に向かって手を振ってくれたので、私も大きく振り返した。

休みの日に浦橋くんと出かけるのは新入社員研修以来だ。

あの頃は私のこと揶揄ってばかりいたので、浦橋くんのことはどちらかというと苦手だった。誘われても、断る理由ばかりさがしていた。
さっき和美に言ったとおり、地味で恋愛経験のなさそうな私をからかっているのが面白くて仕方がない、という感じだった。
そういえば強引にキスされたりもしたっけ。

本配属になり、たまに会うようになった浦橋くんはずいぶんイメージが変わった。
前みたいに揶揄うように私に触れてくることもないし、無理やり誘ってくることもない。
一緒に飲んだわけじゃないのに、今日みたいに家の側まで送ってくれて、とても優しくしてくれる。ただ、今日は金曜日の飲み会のことを心配してくれたからなんだろうけど、それでも浦橋くんは遠回りになるのに・・・申し訳ない気持ちでいっぱだ。

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