拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
牧野くんの着信が気になったが、以前の待ち焦がれるような気持ちはもうない。もう長い片想いには終わりにして、前を向こうと思えるようになった。

私に恋愛は向いていない。仕事、がんばろう。

月曜日、いつもと同じ時間に出社すると、エントランスで浦橋くんが立っていた。
私から近づいて行って、声をかけた。

「おはよう。どうしたの?」

「おはよ。満里子のこと待ってた」

「・・・土曜日はごめんなさい。昔のこととか浦橋君とは関係なにのに、八つ当たりした」

「こっちこそ。ごめん。八つ当たりじゃないだろ。そう思わせたのは俺だし」

「・・・・・」

「お詫びにさ、ご馳走させてよ。スイーツバイキングで話題になってるところがあるって真田に聞いて。今週末行こうよ」

スイーツか。私はもちろん大好きだが、浦橋くんも結構甘いものは好きなはずだ。土曜日のパンケーキは半分残してしまったし、今度こそお腹いっぱいに食べたい。

「お昼抜きで行こうよ。この前やっぱりお腹いっぱいになっちゃったし」

そういうと、浦橋くんは嬉しそうにニコっと笑い、じゃあ、早めの11時で予約する、と言いながら歩き出した。

出社する社員たちで混雑する合間を縫って歩き出す浦橋くんの背中を見失いそうになるが、チラりと後ろを振り向き、私が近づくのを待ってくれて、歩きやすいように端をあけてくれる。エレベータに乗るときも、半歩先に私を押し出し、手前に隙間を作ってくれる。
そういえば、いつもそうだ。家まで送ってくれるときの電車や、人混みを歩くときも、いつも気を遣ってくれる。
土曜日のことも、牧野くんへの恋がうまくいかず、過去に好きな人に遊ばれ続けたことも、正直私の八つ当たりだったのに、まったく怒らないどころか、自分のせいだ、と言ってくれた。優しい人なんだと改めて思う。

仕事は、だいぶ吉田さんの手を離れて一人でやることが多くなってきた。他部門との調整も一人でこなすことが多くなり、吉田さんを通しての問い合わせだったものが直接自分にくることもだいぶ多くなったため、社内での知り合いも多くなってきた。

年度がかわり、私も2年目になった。新入社員はこれから長い研修期間を経てからの配属になるが、先輩として恥ずかしくないように成長はしていかなくてはならない、と焦りもあり、仕事でのミスが何度か続いた。

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