拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「頼めばチェックしてくれる。でも、そろそろ俺に聞かないで一人でやってって」

「そっか。全部が全部そうはいかないよな。焦らず、できることからでいいよ」

「でも気持ちが焦っちゃって余計うまくいかない。今日も設計部の同期たちの話聞いて、私と比べて全然凄くて・・私ももっとできるようにならないとって思って・・・」

「焦らなくて大丈夫だって。満里子は能力高いしちゃんとやってるじゃん。それに他の人たちだってミスの一つや二つやってるよ。ただ言わないだけだって。」

私が浮かない顔をしたままだったせいか、浦橋くんが苦笑いしながら言った。

「隣のグループに真田がいてさ。同期だし、元々仲いいからお互い情報交換しながら刺激しあってやってるけど、アイツ、元々社交的だし、上司にも可愛がられててさ。仕事中の会話もたまに聞こえてくるし、正直気にならないって言ったらウソになるし。焦ったりもするよ」

浦橋くんこそ、器用そうだし、立ち回りもうまそうだ。常に冷静でマイペースに見えるのに、そんなことを考えてるなんて少し意外な気がする。

「・・・浦橋くん、優しいね」

「そう?だけど、俺は気休め言ってるつもりないよ。」

「・・・・・」

「話せばスッキリするときもあるからさ。お互い頑張ろうぜ」

「・・・ありがとう」

浦橋くんの言うとおり、浦橋くんに愚痴を言えて、少しスッキリした。優しくしてもらって、心が救われた気がする。


駅に着くと、今日は家の前まで送っていく、という浦橋くんに、本当に大丈夫だからと何度も言うが聞いてくれず、結局家までの道のりを並んで歩く。マンションのすぐ手前にあるコンビニに寄るため、浦橋くんに少しの間待っていてもらう。
浦橋くんの家は、ここから20分くらいかかるが、飲み物くらいだったらそこまで荷物にならないだろう、と思い、コーヒーを一緒に買って渡すと、苦笑いしながら受け取った。

「気を遣わせてごめん」

「こっちこそ、いつも送ってくれてありがとう」

「じゃあ、明日な」

そう言って、浦橋くんが近づいてきたと思うと、一瞬ふわりと抱きしめられて、頭をポンポン、と撫でられる。
急な接近にドキリとして浦橋くんを見上げると、サッと後ろにさがり、私と距離をとって。じゃあね、と手を振った。

私も慌ててバイバイ、と手を振ると、足早に駅に向かって行ってしまった。

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