拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
その日の夜、浦橋くんとエントランスで待ち合わせて一緒に帰る。
新しいプロジェクトのことなど仕事の話を聞いてもらう。
「じゃあ、これから結構忙しくなるんだな。」
「そうだね。明日詳しく説明があるんだけど、しばらくはしょうがないね」
「俺もね、地方のビルが耐震作業に入ることになって、一時移転するらしいんだ。そっちの設備構築に入ることになると思う」
「え?転勤ってこと?」
「いや、たまに現地に行くことはあるかと思うけど、基本的にはこっちだよ」
「そっか。じゃあ、浦橋くんも忙しくなるんだね」
「うん・・・。満里子、俺とちゃんと付き合ってくれない?」
「・・・・・・」
急に言われ、驚きで言葉がでない。無言で浦橋くんの顔をみつめていると、私の目を真っすぐ見て言った。
「これからお互い忙しくなるし、ただの同期ってだけじゃ、連絡するのにいちいち理由見つけて、タイミング考えて、遠慮しちゃって、会えなくなってくる気がしてさ。
ちゃんと彼氏彼女になれば、いつ連絡したっておかしくないだろう?」
そうだろうか・・・・。ただの同期でも、友達同士気兼ねなく連絡とることはできるんじゃないかと思うが・・
でも、浦橋くんが言うことも分かる気がする。恋人には夜寝る前にお休みを言い合ったり、疲れた時やつらい時はお互い支えあったり、甘えたりしたくなるなるものだろう。
私はろくな恋愛経験がないので、想像でしかないのだが・・・。
「うん、そうだね。よろしくお願いします」
「・・・・・マジで?」
「お役に立てるかどうかわからないけど」
「・・・お役にたてるって・・・・俺のことは好き?」
「うん。もうだいぶ前から浦橋くんのこと好きだよ。」
「俺はずっとから満里子のこと好きだからさ。側にいてくれるだけで嬉しいんだけど・・。お役に立てるって何だよ?」
しつこく聞かれ、なんて説明していいのかどうかわからないけど、忙しい時もお互い支えあったりしたいねってことなんだ、と伝えると、やっと浦橋くんが笑顔になった。
「真面目だな、満里子は」
笑いながら浦橋くんが言うが、それは誉められてない気がする。いつも優しくしてくれる浦橋くんに、私も浦橋くんに優しくしたいし、相談にものってあげられるようになりたい、といつも思っているのだが。それを伝えると、浦橋くんはふわりと笑い、ギュっと抱きしめてくる。
「さっき言ったろ。側にいられるだけで嬉しいんだって。俺は」
すっげー嬉しい、といって更に強く抱きしめられて、おでこにチュッとされる。
驚いて顔を上げると、唇に触れるだけのキスをしてきた。
恥ずかしくて下を向くと、そのまま頭を抱えられて優しい手つきで撫でてくる。
浦橋くんのぬくもりが心地よくて、しばらくの間しがみついていたが、そろそろ帰るか、と私の手を引いて立ち上がった。
いつものように、家の前まで送ってくれ、週末仕事が入らなければデートしよう、と約束をしてその日は別れた。
研修の頃のままの浦橋くんだったら好きにならなかったと思う。軽くて恋愛にだらしない人だと思っていたが、配属後に会うようになった浦橋くんは別人のようにずっと誠実だった。いつも優しくて気遣ってくれる浦橋くんが好きだと思うようになってからだいぶたつ。
浦橋くんのことを大事にしたいと心から思った。