40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
今、彼女は何と聞いた?
聞き間違い……だろうか?

「……ごめん、優花」
「はい」
「聞いても……良いか?」
「はい」
「……俺の子供の性別が……知りたいの?」
「はい」
「どうして?」
「お土産を買った方が良いんじゃないかと思いまして」
「……え?」
「ハワイにいるとのことですし、樹さん、会おうと思えば会えますよね」

それどころか、あの子が住んでいる家に、数日泊まる予定になっている。
まだ優花には言ってないけど。

「もし会われるなら、私からもお土産を……と思ったんですが……もしかして……樹さんの方でもう用意してますか?」
「あ、ああ……」

スーツケースの中に、頼まれていた漫画本は数冊入っている。
電子書籍は買えるが、現物も欲しいという、あの子のリクエストがあったから。

「じゃあ……逆に多すぎても……迷惑ですかね?」
「たぶんそこは気にしないと思うけど……」
「あ、ほんとですか?じゃあ、私からもせっかくなので……」

(何故だ?何故君は……)

「それで、性別は?」
「……女の子だ」
「ご年齢は?」
「……9歳……」
「9歳の女の子だと……もう、おしゃれにも興味を持つ時期ですよね。ハワイと言ってもアメリカですし」

(そんなにも優しいんだ……?)

「名前も、お聞きしても良いですか?」
「マナ・桜・ミラー……」

(どうして……俺を責めない?)
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