40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
どうにか樹さんに助けてもらいながら、入国ゲートを通り過ぎると、いっきに空気が変わった。
5度前後の気温の国から、一気に常夏にやってきたのだと、実感した。
樹さんは、スマホで誰かに連絡を取り始めていた。

(この間に、トイレ行ってきても良いかな……)

すっかり頭から抜けていたが……この後、樹さんのお知り合いの方に会うのだ。
そして私は今、顔がぐちゃぐちゃになっている。
直せるものなら、直したい。
いくら私でも、人並みに清潔感ある顔で、ご挨拶をしたい。

「樹さん?私ちょっとトイレに……」

そう尋ねた時、樹さんの電話がちょうど終わった。

「ついてきて」

そう言った樹さんは、化粧品や制汗シートが入っている私の荷物も、一緒に持って、歩き始めてしまった。
私は急いで後に続いた。
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