40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
「ゆ、優花……大丈夫?」

樹さんが、心配そうに覗き込んでくる。
だけど、私は、動くことができない。

「はっはっはっ!随分可愛らしいお嬢さんだな」

体型的に、とても親近感がある素敵な白髪と白い歯をお持ちのおじさまが、お腹を揺らしながら大爆笑をしている。
だけど、私は、お辞儀ひとつすることができない。

何故かと言うと……。

「こら、マナ。離れなさい。ユーカさんがびっくりしているよ」
「ヤダヤダヤダヤダ!離れない!」

黒髪に、大きな目、ハワイの子だと明らかにわかる焼けた肌、そして……こちらも体型的に親近感がある、ぽっちゃり美少女が、力一杯私のお腹を抱き締めてきているから。

「アロハ!ユーカ!私マナ!9歳!私あなたの大ファンなの」

ちょっと何を言ってるかは分からない。
でも、女の子にファンと言われて、気分が悪くならない人間はいないだろう。
誤解を恐れずに言えば、可愛い女の子は、私は大好きだ。
被写体になってもらいたい。
が、しかし……だ……。

「ぐっ……ぐるじ……」
「ゆっ、優花!こらマナ、離れなさい!」

(マナ……ということは樹さんの……)

と、センチメンタルな気持ちになるのが、もしかすると普通なのかもしれない。
が、正直それどころではなかった。
彼女があまりにも力強く私を抱き締めてくるので……肺が潰れそうになっていたから。
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