40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで

怒ってもいいんだ

もともと、自分は、樹さんに好かれるような人間ではない。
それどころか、男性と付き合うという奇跡が、私なんかに起きるはずはない。

いまだに、樹さんが、何故自分を好いてくれるのかは分からない。
それでも、こんな自分に対して、樹さんはいつも優しくしてくれる。
嬉しい言葉をかけてくれる。
それだけで、とてもありがたいし、むしろ……申し訳ない。

そして、これはきっと夢の一部……いつかは、樹さんはどこかへ消えてしまうかもしれない。
その時に、どうやったら1人でまた生きていけるようになるかを、考えてばかりいる……。

そのようなことを、ぽつりぽつりと、自分の過去のことも交えながら言った。

ケビンさんは

「そうか」

と言ってから私の手を握ってきた。
樹さんが私を握るのとは、少し違う力の入れ方だった。
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