出会いは最悪
今は、水曜日の13時。
平日のお昼という事もあり、OL女子がメニューを見てはしゃいでいる。

それを他所眼に、意識は入口。

いつも来る、イケメンはまだかな…。
レジの時計と入口、目線を往復。

(ガチャ)

「あの、これって…!」

なんてタイミングが悪いんだ!と思いながら
OL女子群のオーダーテイクを始めた。

隣のサブレジを後輩女子の日比谷茜が開ける。
この時間にインすれば、バックヤードのでの話題はいつも彼のこと。
この子もイケメンには目がない。

「こんにちは。今日もブラックコーヒーですか。」

茜ちゃんの声よりも彼の声が聞きたいんだと。
左耳に神経が全集中している。

「はい。お願いします。」

「今日はいつもより遅かったですね。」

「そうですね、会議が少し長引いたので。」

「大変そうですね。店内ご利用ですか。」

「いいえ、テイクアウトで。
 あと、今日はMのアイス キャラメルマキアートとSのホット カフェラテを追加でお願いします。」

「かしこまりました。お持ち帰りの紙袋お付けしておきますね。」

意識を戻すため、頭を振った。
OL女子群のオーダーに集中をする。

「ねぇ、これ太るから甘いの抜きたいんだけど…、お姉さんオススメある?」

「そうですね。このドリンクはホワイトチョコレートとエスプレッソ、上にホイップのトッピングがあるので、
 まずミルクをNonfatに変更、シロップ少なめにしてエスプレッソを1ショット追加。
 舌触りを楽しむためにムースフォームの追加をおすすめします。いかがでしょう?」

「うんうん、ムースフォームは初めてかも。お姉さんのカスタマイズで!」

「ありがとうございます!」

「いつもカスタマイズ相談のってくれて、ありがとうございます。
 ここってお姉さんのファンが多いですよね。ネットにも載ってるし。」

「いえいえ、そんな…。」

謙虚な対応をしながらも、そりゃそうだろうよ。と心の中でつぶやいた。
だって私、アルバイトではあるが新作制作会議には必ず呼ばれ、会社からストアのSNS運用を任せられているだから…w

「ぶっきーさんって呼んでもいいですか?」

「はい。もちろんです。いつもご利用ありがとうございます。
 本日はお食事はいかがいたしましょうか。」

「ランチ会議なので、ドリンクだけでテイクアウトでお願いします。」

「左手のカウンター前でドリンクお待ちください。」

やっとオーダーが終わったと、サブレジがある左を見るとイケメンはいなかった。
バーでは新人バリスタがミスを繰り返し中。

「バーフォロー入るね。茜ちゃん、今だけレジ見といてもらってもいい?」

「はい、わかりました。」
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