出会いは最悪
一つずつ丁寧にドリンクを作成していった。
隣でテンパっている新人バリスタに「紙袋に取りまとめをお願いしてもいい?」と指示を出すと
元気よく、「はい!」という声が聞こえた。

ピークが過ぎた後、ふと彼のオーダーとは異なるドリンクを提供したことに気づいた。

やらかした…あぁ、やってらんない!!!!!と思いながらも、
茜ちゃんに確認。

「すみません。」

「OK。とりあえず、後で話しようか。
 一旦、まだ時間たってないから近くにいるか確認してくる。」

ドアを勢いよく開けた、私の体は重く、体力はおばあちゃんレベル。
当然、走ることはしなかった。

いない。か。

うーん。
本社や店に連絡するタイプじゃなさそうだし、聞かなかったら言わなさそうなタイプだからこそ、
見つけたかった。

信号待ちしているOL女子群が群がって男性に声をかけている。
あ、あの人。

「あの!!!!!!」

OL女子群とイケメン男子同時に視線を動かした。
むずがゆいが仕方がない。

「すみません。先ほど、別のスタッフがオーダーをお伺いしたのですが、
 ドリンクを誤っておりまして…。作成し直しさせて頂けないでしょうか。」

「いいですよ。知ってたので。」

「いやいや、でも…。」

「いいので、では。」

いや、さっきの茜ちゃんの対応と私の対応の雲泥の差よ。

え?二重人格ですか?同じ人ですか?
と毒を吐きながらも

「ありがとうございます。またのご利用お待ちしております。」

笑顔で対応しきった。
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