悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!



「レティシア・ウィルド嬢……私の妻となり、この国を一緒に支えてほしい」


「えっ……」



これには声を出してしまった。だって……これって……結婚の申し込み……。


どうして?わたくしは断罪されるはずじゃなかったの?


リオの記憶の中と同じように行動してきた。

そうじゃなくても、同じ状況が必然的にやってきた。だから、わたくしはこの場で婚約破棄され断罪されるはず。



「レティシアは私が相手では不安……?」



返事をしないで固まっているわたくしを見て、トーマ様はそう思ったらしく、声を小さくして聞いてきた。

たぶん、国王様達には聞こえている。


断罪されずに、公開プロポーズ……。

知っている状況とはだいぶ違うけれど、正直に言うとトーマ様のこの言葉はとても嬉しい。


今後、冒険者になることが出来なくても、トーマ様はわたくしが好きな人であり、一番の推しだ。

リオにとっても……。

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