同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
「自分が輝けること…やった方がいいんだよ。」

「いや…けど…」

「じゃあ…なんで今日わたし連れてきたのよ!見て欲しかったんでしょ?誰かに。すごいって言ってもらいたかったんでしょ?」

「……」

まだ向こうを向いたまま固まっている…

「こっち向きなよ!」

わたしは水沢くんのスーツの裾をグイッと引っ張った。

そしたらヨロってよろめきながらこちらを向いた。

「下向いてないで、顔上げて。」

おそるおそる顔をあげる…

「水沢くんは…ほんとの役者だと思う。わたしはね…素人だけど…素人として見て思うのは水沢くんの主演する映画が見たいってこと。この演技見たらそう思った。」

とたんにパッと顔を輝かせた。

「けど…勇気ないから無理だね…」

「え?」

水沢くんの顔が曇る。

「御曹司の座を捨てる勇気…ないんでしょ?社員が路頭に迷うからなんて言い訳。あなたが御曹司の座に甘んじてるだけよ。」

「そ…それは…」

「よく考えて。決めるのは…あなたよ。」

わたしは立ち上がった。

「いいもの見せてもらった。今日はありがとう!」

わたしはそんな粋な捨て台詞を吐くと、その場所を後にした。

最後にドアを閉めるとき…ずっと立ち尽くしてる水沢くんの細長い影が…見えていた…


< 126 / 183 >

この作品をシェア

pagetop