同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~


「て、わけで、向坂と俺はほんとに出会うべくして出会ったんだ。なぁ。向坂。」

専務は俺の肩をガシッと組む。

「そうっすね。僕も、専務は尊敬してますっ!」

それは事実だ。
俺はほんとに槙野専務を尊敬してる。

ほんとにほんとに俺なんかが叶うわけないほど、男前な、仕事もできる、人だ。

だから…俺もどうしたらいいかわからないんだ。
専務がもしほんとに高柳を…と思ってたらどうしようかって…
高柳が、3年思い続けてる男がいようが、きっと槙野専務の本気に出会えば、そっちになびいてしまうに決まってて…

だってそれくらいいい男だから…

俺が女なら俺より専務を選ぶと思うから…


なんだかんだ、みんな楽しそうに飲んで、食べて、そして、いい時間にお開きになった。
まぁ俺はちょっとテンション低めではあったけど…。

専務は、女子2人を送るよう、男子2人に言いつけ、自分はタクシーで帰っていった。

ほんとは高柳送りたいのかもしれないなーなんて思う。

けど、今日は仕事だから、高柳だけ送るわけにいかないし、俺たちに託したのだろう。

俺は、高柳とタクシーに乗ったけど、何喋ったらいいかわからなくて…つい窓側を向いてしまっていた。

「ねぇ。向坂。」

呼ばれて、高柳の方に視線を向ける。
相変わらず綺麗だし…
と、思いつつ…

「何?」

ちょっといつもより覇気はなかったと思う。
自分が専務と同じ土俵に立つなんて…って思うと…意気消沈してたんだと思う。

ぼーっと高柳を眺めてたら、なんでか高柳が一瞬だけ悲しそうな顔をした。

そして、首を横に振った。

「ううん。何もない。」

そして、ふいっと窓の方を向いたままそっちを眺めていた。

俺もなんか…あんまり話す気にならなくて…そのまままた窓の方を見ていた。

なんか…まずい…展開に…なりつつあるような…気がする。

けど…
なんか…
やっぱもう、無理なんじゃないかって…気がしていたんだ。

その時は…


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