不純異性交際 -瀬川の場合-
浮気の境界線

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同窓会から1週間が経ち、変わらない毎日が戻ってきた。
来れなかったケイが話を聞きたいと言っているけれど、なかなか全員の都合が合わずにいた。

今回は仕方ないという事で、今日は私とケイと奈美の3人でアップルに待ち合わせだ。

ケイとは久しぶりに会えるし、ずっとミノルくんと話していた奈美の事も気になる。



ーーーシャランッ……


アップルのドアを開けると、窓際の特等席にはもう2人が座っていた。

「お!早いね~!そしてケイ、久しぶりぃい~~!!」

「待ってたよぉ!ミライ元気そうだね!」

「元気元気。こないだ同窓会で瀬川くんに会えたし、そりゃあもうすこぶる元気よ」


私はとくに深く考えずに、いつもどおりのテンションでおちゃらける。


「ミライ、結局ずっと瀬川くんの隣で過ごしてたよね?見ててこっちが照れちゃったよ」

「奈美こそ、ずっとミノルくんと話してたの知ってるんだからね~?今日はいろいろ聞かせてもらいますよ~(笑)」

「え~!そうなの?!っていうかミノル君も来たんだ?私こそ今日は、いろいろ聞かせてもらうよぉ~?ふふふ」


注文したドリンクとケーキをマスターが運んでくる。

「ケイ、ほんとに久しぶりだね。子供は元気?いつでも遊びに来てよ。言わなくてもしょっちゅう来るんだから、ミライは(笑)」

「「アハハハハ!」」

「それじゃ、ごゆっくりね」


マスターが奥に行くのを確認すると、
「それで?ミノルくんとの久しぶりの再会はどうだったの?」
とケイが喋りだす。


私も気になっていたから、うんうんと同意するように奈美を見た。


「えっとね…まずね…最初にミライに謝らなくちゃいけないことがあって…」

言いづらそうに奈美が私を見る。

「えっ?なに、そんな改まって…。どうしたの?」



私には、奈美に謝られるような内容が何一つ思いつかない。

「実は、あの同窓会のあと帰ってなくて…」

「……えぇーーっ?!」

「ほんとごめんね、嘘つきたくなかったんだけど、あの状況で言ったら他の人にも聞かれちゃうし…ミライにはあとで言おうって思ってたんだよ!」


わけが分からないといった様子のケイに、同窓会のあとの出来事を説明する。
話し終えると、奈美がまた申し訳なさそうに私に謝る。

「いや、別にそれはいいんだよ奈美。それよりも!!ミノルくんと…まさか?!」

「いや、違うの!ほんとになにもないの。これはホントに本当!」


どうやら会話が盛り上がった2人は、あのあと別のバーで少しだけ飲み直していたらしい。



「どんな話をしたの?」

ケイが聞くと、奈美は少しほころんだ笑顔で話してくれた。


「まぁ…最初は、昔のなつかしい話とかね。若かったねって(笑)あとは、ミノルも結婚してるから子供の話とか…」

紅茶をすすりながら興味深げにうなずく私とケイ。


「でも、2人が面白がるような話はなにもないかも(笑)」

「いや、面白がるってそんな人聞きの悪い~!」


奈美は少し照れるようにハハハ…と笑う。

「でも、あの頃を思い出しちゃって。正直、ドキドキした。
私が美容学校に通い始めて、いつもイライラしててさ。
私のワガママで別れたのに、ミノルすごく優しいんだよね…」


「いいねぇ~青春だねぇ~。あの頃のときめき…私には皆無だわ」

ケイが冗談半分で言う。



私は瀬川くんとの出来事を思いだして、他人事ではない何かを感じていた。

「で、でも、ミノル君とはなにもなかったんだよね?」

「やましいことはなにも。連絡先は交換したけど…」

「それは、同級生のグループチャットもあるわけだし別にやましくないよね!」
ケイが言う。


「だけど、今度2人で会おうってミノルは言ってる…」

「ほ、ほほう・・・。」
私とケイは、かける言葉を探している。


「ねぇ、どう思う?私、バラ組には嘘つきたくないし、どう思うか正直に聞きたい。これってやっぱりいけない事かな…?」


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