僕等はきっと、満たされない。
「晴さん、お香まだある?」
「うん…その引き出しに…」
宙くんが引き出しを開けた
引き出しからお香を出して
宙くんが火をつけた
ゆっくり煙が上がって
香りが広がる
冷たい部屋が
またあの人の香りでいっぱいになる
「晴さん
忘れなくていいですよ
…
会いたくなったらまた
この香りの中で思い出したらいい」
それから宙くんは
引き出しに一緒に入ってた箱を捨てた
いつか宙くんが
コンビニから買ったもの
「減ってたらショックだから、捨てる」
「ん?」
「もぉ、いらないでしょ
…
忘れなくて、いいから…」