愛してしまったので離婚してください
雅はエコーをあてながら、腫瘍があるであろう場所を指で触れて探したり、子宮の位置を確認していく。
「元気にお腹の中で動いてる。」
私の緊張をほぐすように雅はあかちゃんを画面に出してくれた。

小さな小さな赤ちゃんがぴょこぴょことお腹の中で動いているのが見えた。

がんばらなきゃ。
私がちゃんとしなきゃ。

私は自分の両手をギュッと握り目を閉じた。

「頑張ろう。いくぞ。」
「はい・・・」

雅の声と同時に、下腹部に鋭い痛みが走る。
周辺の組織をとるためなのだろう。
ぐりぐりと針を動かしたり、組織を絞りだすように動かされる。
一瞬のできごとなのだろうけれど、とても長く感じた。
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