愛してしまったので離婚してください
「頑張れ。もう少しだから。」
「・・・」
私には雅の言葉にこたえる余裕なんてない。

感覚的に、赤ちゃんは本当に大丈夫なのかと不安になる。

赤ちゃんがいる場所にそれだけ近いのだろうと思いながら私はただ祈った。

「よし。終了。よく頑張ったな。」
その言葉に、一気にこみ上げるものがあって、瞳の端から涙が伝っているのを感じる。

雅は看護師さんが私のお腹を拭いて身だしなみを整えようとするのをとめて、「私が」と私のお腹を拭き、身だしなみを整えるのを手伝ってくれた。

「本当に、ご主人の技術はほれぼれしますよ。」
周囲の医師からは感嘆の声が漏れる。
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