愛してしまったので離婚してください
雅は私が診察台の上で体を起こすのを手伝ってくれた後に、私の手に一枚のエコー写真を渡した。

「これは組織検査が終わってすぐの赤ちゃんの様子。ベストショットだろ?」
そう言って笑う雅の表情は今まで見たどんな表情よりも、柔らかい。

渡されたエコー写真をみると、そこには顔の横にギュッと握った手をあげている赤ちゃんの姿がうつっていた。

「大丈夫。検査は無事に成功だ。一ミリだって赤ちゃんの部屋は傷つけてない。」
雅の言葉と赤ちゃんの姿に安心して、余計に涙が溢れて止まらなくなる。

「検査結果が出るまでには最低でも5日はかかります。5日後、もう一度いらしてください。その際は転院の書類も用意しておきますので。」
「・・・はい」
医師の言葉に、泣いている私のかわりに返事をした雅は、私の背中をそっとさすってくれた。

「よく頑張ったな。」
何度もそう言ってくれる雅。

もしも雅が来てくれなかったら、私は耐えられていただろうか。
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