愛してしまったので離婚してください
「これもきっとつわりの一種だな。」
「そうなの?」
「ホルモンのバランスで、いろいろと体が変化してるんだ。嗜好の変化だって大きいはずだし。わからなくて仕方ないよ。」
「・・・」
私はふと自分のお腹に触れる。

「まだ、正直実感がわかないの。赤ちゃんが動くのを感じたわけじゃないし、お腹も少し膨らんだ程度だし。エコーで見た時も、本当に映像の中の赤ちゃんが私のお腹にいるのかなって不思議な感覚の方が勝ってる。」
「わかる。俺だってそうだ。生まれてこの手に抱くまでは実感がわかないかもしれないなっても思う。」
私は雅の手を握った。

この手に、本当に無事に抱いてもらえるだろうか。
ふとそんな不安がよぎる。
< 150 / 251 >

この作品をシェア

pagetop