愛してしまったので離婚してください
「大丈夫。きっとこの手で抱ける。」
言葉にしなくても雅は私の考えがよめる。

「うん」
雅は、自分の手を握る私の手を、自分の手で包みなおした。

「この指輪を贈った時。」
私の左手の薬指には、雅からもらった結婚指輪。
ダイヤがちりばめられている指輪は今日も光を反射して、繊細な輝きを放っている。
「贈るのがかなり遅くなったけど。」
ふっと笑う雅に私も微笑み返す。
「ちゃんと選びたかったから。時間かかった。ちゃんと、俺たちを繋ぐ大切なものだから。ちゃんと心がつながってから贈りたかったんだ。そしたらあんなタイミングになっちゃったけどさ。」

この指輪を贈られた時、私は離婚を切り出した。

最高に幸せな瞬間に、私は・・・離れるという最低な返事を返してしまった。
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