愛してしまったので離婚してください
「コーヒーでも飲みませんか?」
病院で聞いた話から、私は雅と会える貴重な時間には妻としてできることをしようと心に誓っていた。

忙しい雅に断られるかもしれないと思いながら、私は緊張して言う。
「・・・あぁ」
少し間を開けてから雅が頷いてくれた時、私は少しほっとした。

分厚いコートを脱いで、キッチンへ向かいお湯を沸かし始めると雅は自分の荷物の方へ向かい何かをしていた。

ソファの前のローテーブルにコーヒーを置き、「どうぞ・・」と雅の背中に向かって声をかけると雅は立ち上がりすぐにソファに座った。

「この家、ベッドは?」
「・・・」
この家の家具は私がすべて選んで買ったものだ。
2LDKの家は一部屋は雅の部屋にしてある。
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