愛してしまったので離婚してください
たまたまもう片方の部屋の扉も今日は開いていて雅は不思議に思ったのだろう。

「なんとなく、一人で選びにくくて。」
これは正直な私の気持ちだ。
ほかの家具は差しさわりのないデザインのもので統一している。

雅は私に家族カードを渡してくれているけれど、それを堂々と使うのは違う気がして、私はわずかにためていた自分のアルバイト代の貯金でやりくりして家具を買った。
当然の事とも思える。この家には99%、もしかしたらそれ以上の割合で私がいるのだから。

もちろん食費や光熱費は申し訳ないと思いながらも雅のカードを使わせてもらっている。
でも、節約してなるべく使わないようにしていて、いつの間にかあまりに一人の時間が長すぎて節約することが楽しくもなっている。

ただ、ベッドだけは寝心地ももちろん。
シングルをふたつ買うべきか、それをどこに置くべきか、むしろ必要か、だとしたら雅用のベッドも私の趣味のものでいいのだろうかとか、だからといって自分だけベッドを買ってそこで眠るのはどうなのかとか・・・あれこれ考えて結局買えなかった。
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