愛してしまったので離婚してください
実家の病院にとって、ニューヨークで経験を積んだ雅の存在は必要不可欠で、病院の存続に関わる。
娘の私と離婚をしていようとも、病院のためには父は雅を迎えたいと希望するはずだ。

でも雅はどうだろうか。

このままニューヨークに居たいと望んでいるかもしれない。
その時は・・・とか。

考えなきゃならないことなのに、考えようとしても、どうしても避けてしまう。
深く、現実的に考えることも、動き出すことも。

もう少し・・・もう少しと思っていたら、1か月も過ぎてしまった。


私はもう一度薬指の指輪に触れながら、小さくため息をついて、玄関の扉を開けた。
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