幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「どこから持って行った?」



恐る恐る唯斗くんを見上げると、唯斗くんは私を睨んでいて……。

って、睨んでない?

むしろ笑みを浮かべている?


なんというか。

勝ち誇ったような意地悪しているような、そんな少し楽しそうな笑み。



「玄関からか?」

「それはっ!」



慌てて唯斗くんの言葉を否定する私。

南條くんもいるのに、なんで『同居』を匂わすワードを使ってくるのかなっ?

それとも、私をストーカー扱いみたいにしたいわけ?

勝手に唯斗くんの家に上がりこんだストーカーみたいに言わないでよねっ。



「……唯斗くんの勘違いじゃない? たまたま似ているボールってだけだと思うけど?」



必死の言い訳。

これでなんとか、この場がおさまってくれるといいんだけど。

そう願うのに、神様も唯斗くんも意地悪で。

唯斗くんはゴール下に転がっていたボールを拾いに行った。
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