幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「冗談で言ったのに……」

「僕は冗談じゃないよ?」



ああ、もうっ。

春馬くんの笑顔には負ける。

これは芸能活動していて人気も出るのは分かる。

だけど、今、その笑顔を独り占めしているかと思うと嬉しくてたまらない。

そう思ってしまう自分はおかしいのかな。



「美羽ちゃん」

「えっ?」

「今日は一緒に登校しようか」

「ええっ?」



そんなことしたら目立ってしまう。

変な噂を立てられると思う。

それになにをされるかわからないし、春馬くんにもメリットはないんじゃないかな。

しかも、バレたら春原さんに怒られるだけじゃ済まないよね。


困っている顔をしている私に気付いた春馬くんは、私を包み込んでくれるような雰囲気を出す。

まるで、大丈夫だよ、って言っているかのように。

絶対大丈夫だよ、って。



「なにかあったとしても、僕が守るから」



全てを見透かしたように言う春馬くん。


不覚にもドキッとしてしまった。

春馬くんにドキドキするなんて。

そんなのは気のせいだ。


そう。

気のせい……。


春馬くんの甘い声。

甘い言葉。

全てを包み込んでくれるような柔らかい笑顔。


そんなの……。
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