幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「ありがとう」



その言葉だけだった。

だって、私がずっと練習していたこと、気付いていたんでしょ?

私の手がマメだらけだってことも気付いていたんでしょ?

私が自分のために練習頑張っていたって、分かってくれたなら。

それでいいんだ。



「体育祭のバスケ試合、私のクラスを応援してよね!」



私がそう言うと、春馬くんはくしゃっと笑った。

その笑顔はなんだか可愛くて。

子犬みたいだな、って思った。



「うん。自分のクラスより美羽ちゃんのクラスを応援するね」

「えっ。それは自分のクラスを応援しなよ!」

「ううん。美羽ちゃんのことを応援したい」



そう微笑む春馬くんは柔らかい笑みを浮かべていた。

不本意にもドキッとしてしまう私。

そんな自分に気付きたくなくて目をそらしてしまう。
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