幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
私だったら絶対に頼まない。

頼んだ日には説教を受けることになりそうだもん。

ああ、怖い。


でも、本人が『頼まれた』って言って引き受けているんだからいいのか。

だけど、私と南條くんの邪魔はしないでよね!


……と、心の中で祈っていたのに。



「なんで、そこに座るの。他にも席、空いているじゃん」

「ここがいいから」

「……」



唯斗くんが座ったのは私の後ろの席。

まだ人が集まっていないから、席だってたくさん空いているのに、なんでわざわざそこに座るのかなぁ。

また目立つじゃん。

それに唯斗くんの視線を気にして、南條くんと楽しくおしゃべりできないじゃん。

唯斗くんの存在は気にしないように意識する私。


唯斗くんは空気だ。

そう、空気!

空気だよ、空気!


って、そう思えば思うほど、存在を意識してしまう私。
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