幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
南條くんも話しかけてはくれるけど、曖昧な笑顔でしか返せない。

せっかく南條くんとの時間なのに……。

邪魔しに来た唯斗くんを一発、睨んでやろうかと思って振り返る私。


思いきり睨む!


そう、決めたのに。

唯斗くんの表情は柔らかくて。

だけど、少し意地悪そうに微笑んでいて。

頬杖をつきながら、こちらを見ている唯斗くんが一瞬かっこよく見えた。


顔が、とかじゃなくて。

唯斗くんからあふれでる雰囲気が、いつもの唯斗くんじゃなくて。

なんて言うんだろう……。



「きゃぁっ! 唯斗くんがいる!」

「えっ、ほんとじゃん! ミーティングさぼろうかと思ったけど来てよかった!」



ガラガラッ、と扉が開く音と同時に黄色い悲鳴が聞こえる。

多分、あの人たちは3年の先輩方だ。

前に委員会で見かけたことがあるから。


……それにしても助かった。
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