ネトゲ女子は社長の求愛を拒む《宮ノ入シリーズ②》
寝室をノックした。

「返事がない。ただの(しかばね)のようだ…って、今は冗談にならないか」

薬はベッドサイドに置いてあり、ミネラルウォーターのボトルもあるから、薬は飲んだみたいだった。
額に手をあてると、熱があるのか熱い。

「冷えピタはっとこ」

前髪をあげて、冷えピタをはってあげた。
ひゃー、美形だなー。
整った顔ってこういう人のことを言うのね。
頬に触れると、うっすらと目を開けてこっちをみた。
なぜか悪いことでもしていたような気がして、慌てて手を離すと、その手をつかまれた。

「あ、あの」

社長は小さい声で呟いた。

「母さん」

涙が目尻(めじり)から、こぼれて落ちた。
目を閉じ、また眠ってしまった。
なんの夢をみているのだろうか。
確か母親を亡くして宮ノ入に引き取られたとか。
肉親は宮ノ入社長と会長だけと先輩が言っていたっけ。

「仕方ないなあ」

握った手を離してくれそうにない。
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