ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
直真(なおさだ)さんの言葉に圭吾兄ちゃんは真顔になって言った。

「有里、総長がお待ちだ。早く着替えろ」

「裏切り者!!!」

絶交と言ったのに一日もたたずに絶交は終わらせられた。
強制的に―――


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


引きずられるように会社に行くと、仕事が山積みになっていた。
会議資料、お礼状の返事、手紙の仕分けと贈り物の手配。

「今日中に終わるといいな」

「ひどいじゃないですかっー!」

「早く帰りたいんだろ。無駄口叩かず、やった方がいいぞ」

「鬼っ!悪魔っ!」

涙目になりながら、仕事をした。
休もうと思ったのに。
イジメか。
当然、この仕事量だと定時には間に合わず、遅くなってしまった。

「やっと終わった……」

「やればできるもんだな」

「もっと違うねぎらいの言葉があるでしょうがっ」

「夕飯でも奢ってやるよ」

「帰りたいです」

「明日は休んでいいぞ。有給届、受理しておいたが?」
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