Present for you〜Lady side〜
4、壊されていく
「これあげるよ。だから、俺のこと「嫌い」なんて言わないで……」

涙を目に浮かべて必死に謝っているのは、あたしの彼氏である拓也(たくや)。アンティーク調のテーブルの上には、彼があたしのために買ってきた鍵をモチーフにしたネックレスがある。でも、それを見てもあたしの気持ちは変わらない。

「ごめんなさい。もうあなたとは付き合えない。だから、これは受け取れません。さようなら」

別れの言葉を告げれば、拓也はあたしの肩を乱暴に掴み、「何で!?どうして!?」と取り乱す。さっさと帰りたいあたしは、ソファから立ち上がり、広々としたリビングを出て玄関へと向かう。その間も、拓也の声は響いていた。

拓也と付き合い始めたのは、大学に入ってすぐのこと。通っている大学はそれぞれ違ったものの、無理やり友達に連れて行かれた合コンで意気投合し、その後すぐに恋人関係になった。ちなみに告白は拓也から。

拓也は優しくて、イケメンで、頭が良くて、実家がお金持ちで、いつもあたしを気遣ってくれて、あたしにはもったいないくらいの素敵な人だと思っていた。……最初のうちは。
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