魔法の恋の行方・7日目の恋(シリーズ5 ダリウスとリセ)

アラステアの山荘・最終日

<アラステアの山荘・6日目・その1>

今日は最終日だ。

リセは昨日の事はとにかく、
最後まできちんと仕事をしようと考えていた。

指定された時間に、
ホテルの最上階の扉の前に立った。

廊下には、
有名ブランド製のロゴの入った
大きなトランクが、いくつも並べてある。

出国の準備を、始めている事がうかがわれた。

ダリウスがすぐに出て来た。
いつもの通り・・・ではなく、
大きな花束を持ち、スーツ姿だ。

「どちらに・・」
「アラステアの山荘だ」

リセは脳内検索をすぐにした。

アラステア・・
ダリウスの母方の祖母の別荘で、
生母がそこで育ったともいわれる。

「少し遠いが・・頼む」
「わかりました」

アラステアの山荘は、平原を抜けて山の中腹にある。

引き継ぎ書に、確か記述があった。
祖母と生母の墓が、山荘の敷地内にある。

リセは納得した。
墓参りなのだろう。
ダリウスはここに来た後に、
別の国に移動することが多い。

護衛は敷地内には入らない。
門の前で待つことになる。

ダリウスにとって、
アラステアは誰も入れない聖域なのだ。

大きな森をいくつか抜けて、
アラステアの山荘の、大きなアイアンワークの門が見えた。

門の前でリセは車を降り、後部座席のドアを開けた。
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