魔法の恋の行方・7日目の恋(シリーズ5 ダリウスとリセ)
<アラステアの山荘・その2>

ダリウスは降りて・・
ここから一人でいくのだろう・・
とリセが思ったが

ダリウスは車を降りてから、
自分で門を開けた。

「今日は車を玄関までつける」

リセは慌てて、一緒に門を開け、
すぐに車に乗り込んだ。

アラステアの山荘は・・
山荘というより
美しい貴族の城・屋敷のようだった。
正面玄関は中央にあり、
車寄せもあった。

玄関の両脇には、
大きなつる薔薇の木が
上階まで繁り、

小ぶりの白い薔薇の花が、
見事なほどに咲き誇っていた。

「ここで待っていろ」

ダリウスはそれだけ言うと、
花束を持って
玄関の大きな扉の鍵を開けた。
そして屋敷の中に入って行った。

リセは車のそばで、ゆっくりと庭を見回した。

昔は栄華を極めたのだろう・・

正面の庭には
ところどころに彫像や、
水は流れていないが、噴水や池があった。

庭師が手入れをしていないのか、
木が茂りすぎて荒れているように見える。

リセは正面玄関の、つる薔薇の木のそばまで歩いた。

そして雪が降るように、
満開に咲き誇る、薔薇の花たちを見上げた。

ダリウスの母親も、
この薔薇を毎日見たのだろうか、

この庭で声を立てて笑ったり、
遊んだりしたのか・・

きっと、美しい娘だったろう、
華やかなドレスを身にまとい、
幸福な日々を送った・・・

が、今は
この美しい薔薇を見る人は、
誰もいない。

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