魔法の恋の行方・7日目の恋(シリーズ5 ダリウスとリセ)
<アラステアの山荘・その5>

ダリウスがリセの正面に立ち、
確認するように言った。
「かすっただけか・・・」

「え・・・?」
そう言われて
リセは初めて頬に、一筋の痛みがあることに気が付いた。

指で頬に触れると、少し血が出ていた。

「心配で・・」

リセは痛みより、安堵で力が抜けて、
近くの木の幹に手をついて、体を支えるようにした。

ダリウスの金の瞳が・・
揺れて、
それから大きなため息をついた。

「まったく・・・!
おまえなら避けられるだろう!
なんで・・勝手に」

ダリウスの指が、リセの頬に触れた。

「あ・・」
次にダリウスの唇が、
リセの頬の傷をなぞるように触れた。

「魔女の血は・・甘いのだな」
そう言うと、
リセの瞳を覗き込むように見た。

ストレスと緊張で、
魔女ホルモンが急激に低下をしてしまったのだろう。

めまいが起こり、
倒れこみそうになるところを、
ダリウスが抱き留めてくれた。

そのまま、しばらくの間、
ダリウスはリセを抱きしめるようにしていた。

ピーィ・・チチチチ

鳥のさえずりが聞こえる。
それが合図のように、ダリウスが声をかけた。

「さぁ帰ろう・・
お前には無理をさせてしまった」

そして、
リセの肩を抱きかかえるように、
小道を引き返した。


< 46 / 54 >

この作品をシェア

pagetop