エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
(布施さんの輝く未来を、私のせいで潰したくない)

彼の子を身ごもったとわかった時、瑞希は日本、布施は国外にいた。

政情が不安定なアフリカのとある国で、日本の大使が車での移動中に襲撃される事件があった。

怪我を負って帰国した大使の代わりに、急遽布施が代理として着任したのだ。

彼のようなキャリア外交官がまず目指すのは、在外公館の大使だろう。

これは布施にとってチャンスであったが、紛争地帯の大使は敬遠されがちである。

けれども布施は迷うことなく引き受けて、その後正式に大使に任命されたところまで、瑞希は知っていた。

きっと彼は今も、澄み渡るアフリカの広い空の下活躍しているはずだ。

布施の専門もフランスで、研修期間中は指導者として、その後は上司として瑞希の面倒をみてくれた。

けれども私的な連絡を取り合う関係ではなかったので、職場が違えばもう会う機会はない。

海翔の存在を彼に気づかれないために、瑞希は夢の舞台を下りたのだ。

朝のミーティングが終わり動きだす。

「あの、すみませんでした」

鏑木に申し訳なさそうに謝られた瑞希は、並んで歩きながらフォローの言葉を探した。

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