エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「あれくらいどうってことないよ。鏑木さんは悪くないから気にしないで。蛭間さん、なぜか私に冷たいんだよね。実害あるわけじゃないし、気にしないけど」

明るく笑って見せたら、鏑木が感嘆の息を漏らした。

「森尾さんの強さに憧れます。私は厳しくされたらすぐ泣いちゃうし、辞めたくなるし、弱いなぁと自分でも思うんです。森尾さんみたいになれるよう頑張ります!」

「私は大した人間じゃないよ。でも、ありがとう」

(妊娠期間中、何度も陰で泣いた。心細くて。布施さんに全て話して頼りたいという弱さを押し込めるのが大変だった。私は決して強くない。でも、母親として強くならなければと思ってる)

瑞希は無理して口角を上げた。

なるべく気持ちを明るく保とうとする。

『前向きか後ろ向きか、同じ道でも自分の心の在り方次第で、その険しさは変わるものだ』

これも布施にもらったアドバイス。

彼は厳しい上司だったが、もらった助言や叱責の言葉は、今でも瑞希の歩みを助けてくれていた。

会場は二階の中ホール。

数人の従業員と一緒にバックヤードからホールに出た瑞希は、忙しく動き始める。

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