エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「それでも知っていた。コンビニに秋の新商品が並ぶと、森尾は嬉しそうな顔をしてモンブランを買ってきて庁舎のデスクで食べていた。パリのカフェではデザートメニューを見ながら、早く秋にならないかとぼやいていたこともあったな。自分でも気づかなかったが、俺は随分と森尾を見ていたようだ。面倒を見ていた部下は他にもいるのに、デザートの嗜好まで知っているのはお前だけだ」

特別視してくれていたと知り、瑞希の顔が熱くなる。鼓動はうるさく鳴り立てていた。

腕組みを解いた彼が、前髪を掻き上げてから、左の口角を上げた。

「この意味、どう捉える?」

アーモンド形の瞳はシャンデリアの明かりを映し、艶めいて見える。

色気を溢れさせた彼に上手な対応などできず、困って目を逸らしたら、「こっちを見ろ」と命じられた。

再び交えた視線の先で、彼は真顔である。

今さっきまで放っていた色気をスッと消して、先ほどと異なる緊張感が漂い瑞希をドキッとさせた。

ジャケットの内ポケットに右手を差し入れた彼は、白い封筒を取りだすと、瑞希の目を見ながらおもむろにテーブルに置く。

「これは……?」

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