エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
髪の毛がぐしゃぐしゃになるくらいに両手で掻き回し、それから手ぐしで整えていたのは、抜け毛を持ち帰るためだったようだ。

二週間後くらいに連絡すると言ったのは、DNA鑑定の結果が出る日数を考えてのことだったらしい。

(やられた……)

瑞希は悔しさに唇を噛んだ。

けれども気づけなかった愚かさを悔やんでいる場合ではない。

布施の子ではないと言い張ることができなくなってしまったのだから。

「ごめんなさい……」

目を合わせられずにうつむいたまま、力なく謝罪した。

布施が落ち着いた声で確認してくる。


「俺の子だと認めてくれるんだな?」

「はい……。私に交際相手がいたのは学生の時だけです。数年間、誰とも体の関係はありませんでした。だから布施さんとの、あの夜に妊娠したんだとわかっていました……」


店内BGMのピアノソナタに、布施のため息が混じる。

怒っているのか呆れているのか……彼の心情を推測して、瑞希はさらにうなだれた。


「教えてくれ。なぜ黙っていた?」

「それは……」


少し迷ってから、今さら隠しても意味がないと思い、瑞希は正直に打ち明けた。

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