エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 そうだとしたら、和気あいあいとした居間の雰囲気が解せないが。

 混乱のあまり、抱きついてきた海翔に「どういうこと?」と真顔で説明を求めてしまう。

 すると菜箸を握る母が笑いながら教えてくれた。


「布施さんが挨拶に来てくれたのよ。いやあねぇ、こんなにちゃんとした人が海翔の父親なら隠す必要ないでしょ。もっと早く紹介しなさいよ」

「う、うん、ごめん。それで、ええと……布施さんの頬の腫れは? まさかお父さんが……」


 ビールを煽り、しいたけの天ぷらを口にしている父に非難の目を向けたら、「俺じゃないぞ」と言われる。

 父が顎をしゃくった先には母がいた。


「お母さんが殴ったの!?」

「ビンタを軽く一発ね。だって仕方ないでしょ。今までほったらかしてなにしてたのよって思っても。よくよく事情を聞いたら責められないわね。布施さんに妊娠を隠したあんたが悪いわ」

「ご、ごめん……」


 瑞希が首をすくめたら、ソファから立ち上がった布施が歩み寄った。

「おとーしゃん、抱っこ!」と海翔がせがむ。

 息子を片腕で軽々抱き上げた布施は、スリーピースのスーツ姿だ。

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