エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 せっかくチャンスを与えてもらえたのに、仕事があっていけないと断りたくない。

 それを口にしないので、「真面目だな」と小堺に呆れられた。


「真面目に加えてかっこつけ野郎だ。なにが三年分の空白を埋めないとだ。俺と結婚してくれって、土下座で泣いて頼めよ」

「そんなみっともない真似できるか!」


 つい声を大きくしたら、小堺が目を細める。

「そうそう、そんな感じ。もっと感情を出せばいい。ポーカーフェイスは仕事のみでプライベートには不要だ。お前の愛情が伝わっていないから渋られるんじゃないか? 森尾ちゃんは不安なんだよ。きっと。愛してるって大声で叫んでやんな」

 布施を見る小堺の目は優しい。

 今度はまともなアドバイスのような気がして、布施はドアノブから手を離して体ごと小堺に振り向いた。

(そうか、俺の気持ちが伝わっていないのか。好きだと言ったつもりでいたが、疑われているのかもしれないな)

 片手で口元を覆い真面目に悩む布施を、小堺がまたからかう。

「恋愛に悩むお前、面白いな」

 ムッとした布施は、今度こそドアノブを引いて廊下に出ると足早に歩きだす。

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