エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 すると小堺が追ってきて、隣に並んだ。


「この後、飲みにいこう。森尾ちゃんとの話、もっと聞いてやるから」

「まだ仕事があると言っただろ。それにお前に相談しても、面白がられるだけだから遠慮する」

「急ぎじゃない仕事は明日にしろよ。実はさ、今回の出張で先方から難題を与えられて困っているんだ。布施の知恵を借りたい。なっ、飲みにいこう?」

「お前の相談かよ……」


 小堺はいい加減に見えて、評価が高い有能な外交官である。

 全てに全力投球ではなく、手抜きができるところとそうでないところの嗅ぎわけが上手で人を使うのもうまい。

 だから余裕を持って仕事に臨めるのだ。

 その能力を常々羨ましいと感じていた布施だが、今日ばかりは呆れのため息をつくのであった。



 庁舎を出た布施と小堺は、寒空の下を駅方向へ進む。

 仕事の話をする時は個室のある店を使いたいので、少々遠い場所にある寿司屋まで行こうとしていた。

「寒くなったな」とコートの襟を立てる小堺に、布施はフッと笑った。


「北京帰りなのになぜ寒がる? 向こうの方が気温は低いはずだ」

< 153 / 224 >

この作品をシェア

pagetop