エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
彼がこういう顔をする時、小手先の言い訳が通用しない展開になるのは、経験から知っている。

本当のことを白状するまで、彼は決して逃してくれない。

(でも、言うわけにいかない)


「ヘッドハンティングされて、転職しようと思ったのか?」

「い、いえ、違います」

「だったらなぜ。他にやりたいことを見つけたからではなく、外務省を辞めなければならない事情ができたのか?」


ギクリとして心臓が縮み上がった。

海翔の存在を気づかれてはいけないと焦るのに、動揺から思考がうまく回らず口をついて出たのはそのことであった。

「子供が小さいと、風邪などで休まないといけない日も多いんです。シフト制で休みの融通が利く職場がいいと思ったので……」

(あっ、しまった!)

瑞希は青ざめ、思わず片足を引いた。

布施は再び目を見開き、驚きを顔に表している。

無言の間が数秒続き、息が詰まりそうな緊張に瑞希が襲われていたら、布施が下唇を噛んだ。

その後には表情を緩めてくれる。

「結婚したのか。おめでとう。元上司として、なにかお祝いを――」

布施の右手がスーツの襟元に差し入れられた。

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