エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
彼は携帯電話をいつも内ポケットに入れている。

後日改めてご祝儀を渡したいから連絡先を教えてくれと言われそうで、瑞希は慌てた。

(在職中も私的な連絡先を交換していなかったけど、念のために電話番号とメールアドレスを変えたのに。完全に布施さんとの縁を切らなければと思って)

聞かれるわけにいかないと、瑞希はドアノブに手をかけた。

「すみません、私、急いでます。会場準備をしないと。お祝いは言葉だけで充分ですから。ありがとうございます。布施さんのご活躍を陰ながら祈っていますので。それでは失礼します」

三年ほど前まで仕事上で深く関わった間柄にしては、いささか素っ気ない対応であっただろうか。

早口で会話を切り上げた瑞希は、彼の反応を確かめずにホール内に逃げ込んだ。

(心臓、壊れるかと思った)

まさか再会するなんて、という心境だ。

今朝の官能的な夢が脳裏に蘇り、罪悪感がまた押し寄せる。

(布施さん、ごめんなさい。ズルいことをしたと反省しています。海翔は愛情をたっぷり注いで幸せに育てますので、どうか許して)

< 18 / 224 >

この作品をシェア

pagetop