エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「あの、お客様、私は英語に不慣れなものでして、申し訳ございませんがフロントの者を呼びますので少々お待ちを……伝わってないよな」


蛭間が片手をカウンター上の電話機にかけた。

英語が堪能なフロント従業員に助けを求めるつもりのようだが、それでもこの客との会話は難しいのではないだろうか。

瑞希の耳には、あまりにもたどたどしい英語に聞こえるからだ。

(英語が苦手な、このお客さんの出身は……)

そのイントネーションには覚えがある。

フランス語に似た抑揚がついているので、彼の母国はフランス語圏にあると推測した。

(ここで私がしゃしゃり出たら、さらに蛭間さんに嫌われそうだけど)

学歴や前職を鼻にかける女だと非難されそうで気が進まないが、困っている外国人客を見過ごすわけにいかない。

クローク前に引き返した瑞希は、お手伝いが必要ですかと英語とフランス語の両方で問いかけた。

すると初老の客がホッとしたように頬を緩め、早口のフランス語で話しだす。

それによると、彼は懇親会の来客ではなくホテルの宿泊客らしい。

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