エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
これから妻と食事に出かける予定でレストランを予約しているのに、ちょっと売店へと言って財布だけを持って部屋を出た妻が戻らないというのだ。

探しに行ったが売店に妻の姿はなく、部屋がわからなくなって館内をうろうろしているかもしれないから館内放送をフランス語でかけてほしい、という要望であった。

瑞希はそれを訳して蛭間に伝える。

蛭間はフロントに内線電話をかけて許可を取り、その後に瑞希が廊下とロビーのみにフランス語で館内放送を流した。

すると、ほんの二、三分で探していた妻が現れ、夫妻は笑顔でお礼を言い去っていった。

無事に解決したので、瑞希はバックヤードへ繋がるドアへと爪先を向ける。

先ほど蛭間に命じられた、お弁当の個数の再確認という嫌がらせ業務をするために。

けれども、カウンターから出てきた蛭間に呼び止められた。


「森尾さん、待って」

「はい?」

蛭間は目を左右に動かし口をつぐむ。

なにか言いたそうで言いにくそうな顔……いや、ばつが悪そうな、といった方がいいだろうか。

「私はお弁当を数え直すんですよね? 戻っていいでしょうか」

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